名前は知っていたけど全く会ったこともなく
話したこともない経営者から
M&Aを銀行を通して持ちかけられた。
話だけでも聞いてみようと昨日、
銀行3人、こちらの会計士2人
当人と私で集まった。
まずは、どんな人なのか話しを聞こうと
先方が話すことをひたすら聞いた。
経営者ではなかった。
技術者だった。
年は同じだと言うことがわかった。
彼の言い分は、技術者としてなら言いそうなことだった。
会社にはなっていないと言うことも判明した。
ビジネスライクな話しにはならない。
話しは噛み合わないけれど、私は聞いた。
独立して16年。
彼は技術しかしてこなかったのだろう。
数名いたスタッフもほとんどやめて
10歳年上の内縁の妻と、長年一緒に働いてくれた42歳のスタッフをなんとかしたいというのもわからないでもない。
本人はがんに犯され今も、再発の恐怖に怯えている。
人はいつまでも今と同じ状況でいきていけるわけではないと
なぜもう少し早く、気がつかなかってのだろう。
いつまでも自分が売上を上げられると
本気で思っていたのだろうか。
この仕事は、特に男性は長くできるものではない。
だから独立をして、人を雇う。
長年連れ添った内縁の妻は、経営などとてもできないという。
しかし、私もかつてはそう言うタイプだった。
案外、彼がいなくなったら自分でやれるのではないだろうか。
62歳になるまで、彼女も、永遠を信じていたのだろうか。
大きな借金が返せなくなった。
それは、わたしにも降りかかるかもしれない
現実だ。
今から、自分の引き際を作っていかなければいけない。
お金の専門家が集まったけれど、お金の話しにはほとんど踏み込まれず
会計士の見解も
あれは、ないな。
というもので。私は彼の人間性も含め
いらない。と、判断した。
人助けはできることならしたい。
が、わたしには、そこまで余裕はない。
彼はこの歳になってどんな判断をするのかわからないけれど
筋を通した生き方が出来なかった人間の
末路を見た気がした。