鍵を刺したまま、家の中に入っている。
一階の部屋の大きな窓の鍵を閉め忘れている。
電気を消すのを忘れている。
家の中の扉を開けたら必ず開けっぱなし。
冷蔵庫の扉をちゃんと閉めないまま、
どこかへ行ってしまう。
本当に目の前しか見てなくて、直前まで来て
人の存在に気がつき、飛び上がるほど驚く。
水を出しっぱなしにしても、自分がやったことを認めない。
これは一部。
母のはなし。
母は、ボケてはいない。
ただ歳をとっただけ。
私の心は狭く、こう言う毎日に苛つくことが多い。
私ももうすぐ、こんなふうになるのだろう。
その頃私は一人でいるだろう。
でも、大事な人に自分の存在が邪魔になる存在にはなりたくない。