朝、ホテルのエレベーターで、気持ちの悪いあの男と
偶然一緒になった。
こんな大きなホテルでそんな偶然もすごいことで。
スーツケースを持って一階のフロント階へ降りた。
前回、私のところに電話があって
私が前泊するんだったら泊めてもらおうと思ったみたい。
その電話に私は出なかった。大正解!
その時私は年下くんと当然約束していたし、
もしそうで無かったとしても、受け入れるつもりはもうない。
何を寝ぼけたことを!
そして、今回はあの子が前泊しているから、
あの子の部屋にただで泊まり、
今日からチェックインするつもりなのだ。
せこい。逆ならまだしも
自分よりも一回り以上若い女にすることか。
あの子はずっと、目が覚めないだろう。
もう、笑えてしまった。
同じ手口をつかう、せこくて、汚くて
頭の悪い男。
もう本当に、かかわりたくもないし
私があの男の手付けになった噂は
無くなってほしい。
なぜあんな男があんなに好きだったのだろう。
エレベーターの中での目つきもとても気持ち悪かった。
自分の弱さと甘さと、アホ加減が、本当に嫌になる。
終わったこととはいえ、
いやだ。唯一、消してしまいたい過去。
無かったことにしたい。