まだ終わってなかった

あの人から電話があった。

 

げんきか?

 

そんな言葉から始まって

ゴルフの話をして

 

今日は何してる?

 

また、気まぐれな急な誘い。

近いうち、時間を作ってくれ。泊りで。

 

冗談じゃない。

 

お金のことばっかりではないけど

泊りとなると、また私がホテルを取らないといけなくなる。

 

向こうが予約してお金を出してくれるならまだしも。

 

お金を出すのが嫌なんじゃない。

お金をだしてもらえない自分が

みじめに感じるのが嫌なのだ。

 

以前、「若い子のほうがいいでしょ?」

という私の質問に

「若い子はね、お金がかかるの」

 

といった、あの人の言葉が胸にささって

今でも、消えないでいる。

 

何気なく言った冗談だったのに。たぶん。

 

そんなことの積み重ねが私をみじめにさせる。

 

もう、会いたくない。

初めて京都に泊まった時のことがまだ忘れられない。

 

初めてだったのでさすがにあの人がホテルを取ってくれた。

安い、ビジネスホテル。

お金を払った後、部屋に入り

レシートをまじまじと見た後

 

憎々しげにレシートをまるめて

ゴミ箱にぽいと捨てた。

 

いくらだったか気になって、そっとひろいあげて

見てみた。

確か6400円?だったような。

 

そういう人なのだ。

私は、それぐらいの女なのだ。

 

あの人といると、敏感になってしまって

そんな風に、自分を思うのがとても

嫌になる。

 

あの人は、まだ終わっていないのだ。

 

キスの人と一緒にいると、

自分が自信を取り戻せているのがわかる。

 

「想う」のと「想われる」

 

どっちがいいか。というキスの人の質問に

「想われることの幸せを知った」

と、正直に答えた。

 

自分から好きになることが幸せだとずっと思ってきた。

そうでもないということも知った。

 

あの人は、本当に好きな人はいない。

自分のことが一番好きなのだ。

 

誰もがそうなんだろうけど。

まだ、私で時間つぶしの遊びをしようとしているのだろうか。