仕事の前に、美術館へ行った。
いわさきちひろ展をやっていて
今日行こうと決めていた。
昔よりも、今の方が好きだと感じる。
絵のことはよくわからない。
でも私は好きなものがはっきりしている。
にじむような、柔らかいタッチの水彩画が
好きだと、はっきり感じた。
大きなパネルになったちひろの絵をみて
グッと涙が出そうになった。
赤ちゃんの肌が本当に柔らかそうで
懐かしいような、ふわふわとした質感が
伝わってくる絵を
とても、愛おしく感じた。
私は息子が小さい時、たくさん抱きしめたはずだ。
でも、足りなかった。自分勝手だった。
たぶん、どれだけ抱きしめていたとしても
後になって、もっとすれば良かったと
思うのかもしれない。
仕事が早く帰れた日は二人でベッドに入って
好きな絵本を読んだ。
二人でいても、離婚した後の私は
ずっと寂しかったのかもしれない。
もう、あのふわふわした、ぷりぷりとした
小さい頃の息子を抱きしめることはできない。
ふだん、そんなことは思い出しもしないし
息子のことは気にもとめないのに
たまに思い出すと、胸がキュッとなる。