幻みたいな日々

あれはいったいなんだったんだろう。

歩いていたら突然穴があって
すぽっとその穴にきれいに落ちて

這い上がろうにも上がれなくて抜け出せなくて

恋に落ちた。

そんな感覚を初めて体験した。確かにした。

好きになってはいけない相手だとわかっているのに
どんどん好きになって
認めてもらいたくて、今まで生きてきて
こんなに力を出したことがない。というほど

精一杯の力を出しきり、わたしは、そのお陰で
確実にステップアップした。

自分が変われた。

でも、一方では、罪悪感にさいなまれ
あの人と、一緒にいるととても幸せなのに
とても自分がダメな女に思えて

落ち込んでいく。

あの人の女は私だけじゃない。嫉妬。汚ならしい感情に
押し潰されそうになって、自己嫌悪。

そんな自分が嫌いになる。

いつもいつも、あの人のことが頭から離れず
寝られなくなって、体は疲れているはずなのに
頭は冴え渡っていて

覚醒

ってこういう感じ。薬をやっているわけでもないのに
寝なくてもいい。

大好きで、好きすぎて頭がおかしくなる。

こんな経験、もう二度としたくない。
もうごめんだと思う。

あの人から離れることができて
本当に良かった。

心のそこからそう思う。

でも今思えば、あれは、なんだったのだろう?

あんなに誰かを思うことはもうないだろう。
半分気か狂っていたのかもしれない。

こんな思いはもう、しない。